犬はとっても感情表現豊かな動物です。その感情表現のひとつが吠える事です。しかし、この犬の鳴き声、しばしば飼い主にとって、悩みの種となっています。 犬の鳴き声に関するお悩みは、家庭内のみにおさまることなく、ご近所にも迷惑をかけてしまうことも・・・。
ひとくくりに「犬の鳴き声」といいますが、それぞれのシチュエーションによって違いがあります。その違いを理解することで、犬の鳴き声に対する対処法が見えてきます。

要求している鳴き声

サークルに入れられて吠える。人の食事中に吠える。朝・夕 決まった時間になると吠える。など決まったシチュエーションで犬が吠える場合は明らかに飼い主に対して何かを要求しています。「サークルから出してくれ」「その食べ物ちょうだい」「そろそろお散歩に行きたい」 飼い主に対して何かを要求する時にはワン!ワン!と単発の鳴き声を繰り返します。

犬がこの要求鳴きをしてしまうのは、過去に「人の食事中に吠えたら食べ物がもらえた」など、記憶のなかで”吠えたこと”と”要求が満たされた”ことが一つの記憶として残っているからなのです。その記憶を上書き保存するためには、犬がどんなに要求鳴きをしても、徹底的に無視をすることが解決策につながります。
犬の要求鳴きに対して飼い主が途中で根負けしてしまうと、犬は「たくさん吠えれば要求が満たされる」と勘違いし、以前よりも増して無駄吠えがひどくなってしまいます。 とにかく相手をせずに忍耐あるのみ、吠えるのをやめた時にはたくさん褒めてあげましょう。 
犬には時間の概念があるので、ごはんやお散歩の時間帯を覚えていて「そろそろお散歩行こう」「そろそろ食事だ 食べたいよ」と要求してくることがあります。普段から時間を決めずに犬のお世話をすることもひとつの方法です。

警戒している鳴き声

宅配便が来た時やお客さんが来た時、玄関に向かって猛烈に吠える犬。あなたのご家庭ではいかかでしょうか。これは、自分の縄張りに知らない人が入ってきたために自分自身や飼い主を守ろうとして警戒しているのです。愛犬にとっては、毎回、不審者が家に侵入してくる合図がチャイムというわけです。 
ここでも、犬の勘違いが起こります。不審者(宅配便)がやってきたけれど、一生懸命みんなを守るために吠えたら帰っていったと、犬は解釈をするわけです。チャイムが鳴るたびに、「不審者だ。今日もがんばって追い払うぞ」といった具合に吠えることを続けることはあっても止めることはありません。
この場合は、叱るよりも犬の関心をほかに向けさせる必要があります。興奮していると、つい抱き上げたり撫でたりして落ち着けようとしてしまいますが、無駄吠えのしつけには逆効果になります。 飼い主が犬を優しくかまってしまうと、犬は縄張りを守ろうと吠えていることが褒められていると、ここでもまた勘違いします。また、吠える犬に対して、高い声で叱ってしまうと、犬は飼い主が一緒になって来客に対して吠えているのだとも勘違いしてしまうのです。
 犬が警戒して無駄吠えをする時には、来客に対して気をそらすように仕向けましょう。犬が警戒して吠え始めたら、犬に気づかれないように何かものを床に落とし、大きな音を立てましょう。 驚いた犬は、警戒していることを忘れ、鳴き止みます。鳴き止んだら、すかさず褒めて、犬に「鳴き止むと褒めてもらえる」という記憶を残しましょう。 また、吠えようとした仕草で「おすわり」などの指令を出し、それに従わせてごほうびをあげるのも良いでしょう。とにかく、来客に対して気をそらすことが重要です。

夜鳴き・遠吠え

犬は本来、群れで生活していた動物です。犬の遠吠えは、大昔に群れで生きていた頃に、仲間との意思疎通のツールとして使われていたものなのです。しかし、現代に置き換えると、夜中に響き渡る遠吠えは無駄吠えでしかなく、ご近所トラブルの原因になってしまうかもしれません。
犬が遠吠えする理由は、ひとつは、感情から導かれる遠吠え。寂しさだったり、飼い主にかまってほしい気持ちであったり、単純にストレスを解消したいからであったり、その原因は様々です。もうひとつが何かの音に反応しての遠吠えです。それは他の犬の遠吠えであったり、遠吠えの周波数と似ているとされている救急車のサイレンだったりします。
対処として、遠吠えしている時に甘やかすようなことやめましょう。犬は遠吠えをすればかまってもらえると勘違いをしてしまいます。犬が遠吠えしている時には徹底的に無視しましょう。
遠吠えをするのには原因があり、それを止めさせるには、あらかじめその原因を取り除いてあげることが大事です。犬が寂しがらないよう、普段から遊んであげましょう。遠吠えの原因となるストレスから解放してあげることで、その頻度を減らすことができるでしょう。犬が遠吠えは本能であり、特に夜に多いです。 夜に犬がぐっすりと眠れるように、昼間のうちに一緒に遊んであげたり、長距離のお散歩をしたり、犬を夜にぐっすり寝かせてあげる工夫が遠吠えの対策につながります。

主従関係の逆転

「要求」、「警戒」、「夜泣き・遠吠え」、ここまで見てきましたが、いずれも「勘違い」がキーワードになっているのにお気づきでしょうか。飼い主が良かれと思ってとった行動でも、犬にとっては全く違った解釈でとらえてしまう勘違いをしてしまいます。また、犬を自由にさせて育てていると、犬は自分が飼い主よりも偉いと勘違いしてしまいます。そういった勘違いや歪んだ関係性が犬の無駄吠えを助長するのではないでしょうか。
そうならないためには飼い主が毅然とした態度で「威厳」を示すことが大切です。犬が吠え始めたら、犬の正面に立って、低くはっきりと大きな声で「ダメ!」と言いましょう。そして目をそらさずにおとなしくなるまで待ちましょう。 飼い主が毅然とした態度をとることで、犬に対して飼い主が主従関係の主(リーダー)であるという自覚を持たせることが重要なのです。
もともと群れを成して生活していた犬は、上下関係の中で生きています。飼い主と犬との関係が逆転し、犬が自分自身をリーダーと思うようになると、犬はリーダーとしての役割を担うことになります。つまり、群れを守るために常に周囲に気を張り、神経質にな態度をとるようになります。 逆に飼い主の方が強いということを犬が理解すると、飼い主をリーダーとして認め、より懐くようになりますし、なによりも犬自身が安心して生活できるようになります。すべての行動を飼い主が主導で行うように心がけましょう。犬に鳴き声で催促されてから、それに従うというといった行動は推奨できません。

シニア犬が鳴く理由

シニアになると、目や耳などがだんだん悪くなり、関節も痛みます。体調の変化で、急に抱っこされたり、なでられたりすることに恐怖心を抱くようになる犬もいます。また、近くに飼い主さんを感じられずに、不安になる犬もいます。吠えは、「怖い」のサインかも知れません。こうしたケースは「要求」「警戒」といった場合とは違い無視してはいけません。不安にさせないような行動を心がけましょう。

犬に無駄吠えはない!

シニア犬については特に注意が必要です。「体調不良で吠える」場合があるからです。痛い時、苦しい時も、吠えます。若い頃とは違い、体の不具合も出やすくなりますし、認知症で、夜鳴きが始まることもあります。
普段と違うと気づいたら、まず動物病院に相談しましょう。
もちろん、シニア犬も、要求吠え、興奮吠えもします。犬にとって 「吠えること」は、自分の意志を伝える表現の一つです。飼い主にとって犬の鳴き声は、言葉が話せない犬の感情を読み取る手掛かりの一つです。
つまり、犬にとって「無駄吠え」はないのです。
犬は自分の意思を伝えているだけで、ただ人間がそれを“無駄”だと決めつけているだけのことなのです。なぜ吠えているのか、考えることが大事です。
その鳴き声に対して、威厳をもって対処するのか、それとも寄り添ってあげるべきなのか、その時々によって対処の仕方が大きく違ってきます。
犬と快適に暮らすため、信頼関係を築くためにも「吠える」「鳴く」といった犬の意思表現には、十分に気をつけてあげましょう。

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